マックジョブとしてのエンジニア

2025/10/6

昔、飲食店でバイトをしていたことがある。 覚えることが多くて、同時に手も足も動かす。 材料を混ぜたり、皿を運んだり、レシピを思い出したり。 それが本当に難しくて、当時は女の子のスタッフに笑われて、いじめられた。 今となっては笑い話ではある。

今でもマクドナルドを見ていると、あれは相当な難易度の仕事だと思う。 「マックジョブ」と呼ばれて、誰でもできる、将来性がない、そんなふうに軽く扱われることもあるけれど、 実際は人間の身体と記憶と感情が全部動いている仕事じゃないか。

一方で、今のエンジニアの仕事はどうだろう。 もはや**マックジョブ化**している気がする。 自分の職に誇りはある。 でも現実的には、機械が九割の作業を担い、 人間はその間を"つなぐ"だけになっている。 手でコードを書くよりも、口でプロンプトを打つ。 画面を見て、接着剤のように命令を貼りつけていく。 もはやそれは手仕事ではなく、音声入力の儀式に近い。

API とライブラリをつなげていた時代は、まだ自分の意思があった。 でも今の AI コーディングでは、その抽象度さえ奪われていく。 Cursor や Codex、Claude Code の速度を見れば明らかだ。 人間の手はもう、競争の土俵にすら立っていない。

だから思う。 **戦っちゃダメだ。** AI に勝とうとするほど、自分の自己効力感は削られる。 エンジニアリングを続けたいなら、仕事と趣味はきっぱり分けたほうがいい。 "作る喜び"は、仕事の外に避難させておく。

それでも僕は、あの飲食店で手を動かしていた時間を思い出す。 あのときの「混ぜる」「運ぶ」「焦る」——そういう感覚のほうが、 ずっと人間らしい仕事だった気がする。

English · 日本語 · 中文 · 한국어 · Español · Français · Deutsch · Italiano · Português · Português (Brasil) · Nederlands · Русский · Türkçe · Bahasa Indonesia · Polski · Ελληνικά · Български · Čeština · Dansk · Eesti · Suomi · Magyar · Lietuvių · Latviešu · Norsk Bokmål · Română · Slovenčina · Slovenščina · Svenska · Українська

← エッセイに戻る